ミカヅキモ (茂木 あすか × 金丸 遥)
expand deep breathing ...
ミカヅキモ
銀座のPepper'sGalleryで開かれているユニット
「ミカヅキモ」(個展は終了しています)。
薄暗い細い地下へと続く階段を下りながら、ミカヅキモとは何か?とふと思っていた。あらためて調べてみると地球上に実際に存在する淡水に棲む接合藻の一種であり、細胞の形状が細長く湾曲し、両端が窄まって三日月のような形状をしていることから「三日月藻」...なのだという。
女性二人のアーティストは、ユニット名についてこう話す「植物
でも動物でもない生命体というイメージの中で、環境に対し進化し成長し続けるエネルギーの固まり...そんなイメージでしょうか」。
たしかに取材をお願いしに行った初日から一週間経過した壁面には、やや茶色がかったコンクリートの凹凸に一体化し張り付き、その姿は大きく横へ横へと成長し続けていた。
茂木あすか(以後茂木さん)さんは、武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業後、油絵、アクリル、水彩、岩彩あらゆる絵法を使って抽象的な作品作りに没頭してきた。カラフルな色彩。大小のドットの集合体は緻密な関係を保ち広がっていく。「動物のように直接的では無くても、植物が偶然そこに存在し咲いているだけで、人は大きく影響を受ける。光、水、風といったエネルギーは、小石が落ちた水面の波紋のように、大きく広がって行き、エネルギーと出会うことで大きく共鳴し成長し、進化すると語った。
一方、ユニット結成をもちかけた金丸遥(以後金丸さん)さんは、ウェブデザイナーを経て多摩美術大学造形表現学部デザイン学科に在学中。立体造形による作品を制作してきた。「生き物への愛着や興味は、あらゆるパーツがひとつとして形成しているから起きるものなのか?そして人はどのように関わりコミュニケーションするのだろうか?」という問いに犬の鼻だけの部分を立体化し、白と黒に塗り分けたオセロを作り、存在の再構築をしたもので人との関わり合いを形にした。
2010年の年末にユニットを組んだ2人は、3月の初旬に作品展「ミカヅキモ」を開催し、日中の光を浴びた明るい室内と白い壁の中を成長する作品を完成させた。今回の「expand deep breathing」では、呼吸をして広がると共に、地下という植物には苦しい環境をいきいきと適応し成長進化し続ける姿を表現。第一回よりも進化した「ミカヅキモ」の姿を見る事が出来る。
環境に生き生きとした「より進化した姿」を求めて。
植物のチカラは、スピリチュアルな神聖なもの。道具ではなく、人そのものに存在が自然と働きかけると茂木さんは強く話す。
光沢のあるドットは茂木さんが、立体的なマットな花びらは金丸さんが担当し、ライブインスタレーションとして2人は深い息をし呼応し、共鳴する。感じるままに、ときには集まり、ときにはうねり、広がる。地中で繰り広げられる進化の形態は、ぜひ会場で感じとって頂きたい。
2011年5月1.2.3日は、東京 青山スパイラルホール 「SICF12」というクリエータズフェスティバルにコンペを勝ち抜き参加が決定。あらたなる環境に進化した2人のミカヅキモが見れそうだ。
ミカヅキモ―公式HP
茂木あすか
2000年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。クリエーターチームebcのゲストメンバー。
「ebc展 -Hand in Hand-」(アートガイアミュージアム東京)、「C-DEPOT 2008」で高さ13mの巨大オブジェの原画を担当。
2009年「c-depot square」(有楽町交通会館)、2010年「C-DEPOT 2010」で象の鼻テラスの壁画を担当。
金丸遥(Haruka KANAMARU)
明治学院大学 国際学部 国際学科 卒業後、ウェブデザイナーを経て多摩美術大学造形表現学部デザイン学科に在学中。
2008年舞台「フラミンゴの夢」(ナノスクエア)ではLEDとペットボトルでオブジェ原案を担当。
2010年にGEISAIに出展。